苔川(高山市)<計画編>
平成27年9月某日 現地状況の確認
雨が降っている中ですが、現地を下見してきました。(原田)
↑なんとかしたい区間はこんな感じです。なんだか殺伐としていて、残念な感じ。
県のほうで袋詰め玉石を使って、湾曲部の内岸に洲を形成するのに成功している箇所。
そのすぐ下流。護岸の足元に堆積した土砂が植物に覆われ、とってもいい感じです。ずいぶん印象違いますよね。
「なんとかしたい区間」を、こんな風にできたら、とってもよいと思いませんか?
この日は雨が降っていて、排水樋管からジャージャー水が入ってきています。そんな川です。
さらに上流の未改修区間。つぎはぎの根継ぎが時代を感じさせます。景観的にも河川環境としても、寂しい限りです。
おや?しかし、国道41号より上流側の砂防区間は既に改修が済んで約30年経過する中で、ずいぶんと落ち着いた状態になってますね。
国道41号より下流は、「河川事業」で改修されていてまだ改修が進んでおり、国道より上流は、「砂防事業」で改修が終わっているという、なんとも不思議なシチュエーションです。
それはともかく、川の中を見ると、巨石に石がからんで、Stone clusterを形成しています。礫列(Transverse rib)も見られます。このような河川地形や水際が、苔川の本来の姿なのかもしれませんね。
Stone clusterは、生き物にとっても土砂の移動にとっても、好ましい影響のある河川地形の一種です。また、並木もいい感じです。
平成27年10月9日 作戦が概ね固まってきました。
9月に岐阜県職員の方々が実施した勉強会の成果も踏まえ、河川管理者(岐阜県高山土木事務所)と、小さな自然再生でやるべきことの役割分担がだいたい見えてきました。
また、最終案ではありませんが、作戦イメージを掲載します。
水際部の保持はバーブ工法、人為的なストーンクラスターの形成(クラスター置石工と名づけました)を計画しています。
高山土木事務所さんの維持修繕で対応していただく部分と、小さな自然再生として取り組む部分の役割分担で、殺伐としたモデル区間を「いい感じ」にできるかどうか、試験施工的な色合いの強いものですが、うまくいけば、上下流に少しづつ伸ばしていく計画です。
バーブ工法ってなによ?という方は、バーブ研究会のホームページをごらんください。
平成27年11月6日 魚類調査勉強会
…生き物は正直です。
研究会主催の魚類調査勉強会で、①小さな自然再生の対象区間、②県の過去の取り組みで水際の洲が維持されている区間、④30年以上前に砂防で工事されて現在はいい感じの区間について、調査していただきました。
すると???予想通りといえば予想通り。圧倒的に④の区間の個体数が多いですね。今年は例年と比べて生き物が少ないらしいのですが、それでも④の区間が圧倒的です。
土砂が堆積して植物の生育する水際部があることに加え、大きな石が集まったストーンクラスターが生息場として好まれているのだと思います。
これで、自信をもって作戦に取り組むことができそうです。良かった良かった。
調査法及び同定の指導は、大森清孝先生につとめていただきました。ありがとうございました。(原田)
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