天神川(岐阜市)落差工への簡易魚道の整備<概要>
天神川は、岐阜市の北部市街地を流れる、長さ数kmほどの中小河川で、昭和51年の長良川流域の大水害以降、大規模な改修事業が進められ、合流先の河川から順次川底を下げて、両岸に護岸を設置する工事が進められました。これにより、洪水に対する安全性は飛躍的に高まりましたが、水面がかなり低くなり、近づきにくい川になりました。このような改修は、日本全国の中小河川で普通に行われてきたものです。
しかしながら、天神川では改修以前から地元活動団体が熱心に活動しており、改修時には河川管理者と話し合いを重ねて、川沿いの土地利用に合わせた河川利用を提案したり、改修後も、地域の子供たちを対象とした環境学習や、河川管理者の協力を得て、小さな自然再生的な取り組みを進めてきました。その結果、天神川は、大人は川沿いを散歩し、小学生が平日の放課後に魚採りをしている姿が普通に見られるような、地域住民に広く愛される川となっています。
小さな自然再生の対象は、改修区間の上流端に近い箇所にある落差工で、落差が最大1.3mあり、水生生物の移動阻害を生じていました。地元活動団体では改善が困難で、河川管理者に改善要望が出されていた箇所でした。
河川管理者側でも対応を検討していたものの、上流側に未改修区間を残している状態で、改修済みの扱いである本箇所に、魚道等を追加で整備することには積極的になれない状況でした。また、現場が住宅地を流れる深い川で進入路もなく、工事も簡単でないということもその一つの理由でした。このような、過去に改修された箇所の今日的な課題に、工夫して対処することは、岐阜県版小さな自然再生の趣旨に合致するものであったため、この落差の解消に取り組むこととなりました。
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