武儀川と農業排水路(関市千疋)<実践編①魚道本体>
魚道&バーブ工の施工!
平成28年3月2日
環境修復WGの有志と、岐阜県の河川、農林部局に、関市、地元の代表の方々とともに、コンクリートブロックで作る魚道とバーブ工法を施工してきました。
堤防よりも川側(堤外地)では、樋管の下流側に、岐阜県美濃土木事務所発注工事による斜路式魚道の設置が行われている中、私たちは農業排水路の流末と樋管の枡の間の落差に魚道を設置したほか、排水路区間に簡易なバーブ工を施工しました。
①魚道本体の施工
魚道本体は、ホームセンターに普通に売っているブロック塀などに使われるブロックと、D10の鉄筋、インスタントコンクリートで作ります。材料の数量は、あらかじめ環境修復WGメンバーの坂井悟氏が図面を引いて計算してくれたもので、ホームセンターにあらかじめ注文しておいたものを、2月29日にホームセンターで受けとったものです。鉄筋もホームセンターに備え付けの鉄筋カッターで、あらかじめ必要な寸法にカットしておいたものです。
現場は、冬でも普段は水が少し流れていますが、岐阜県が河川側で行っている工事に合わせて、水替えを行っていただき、ほぼ水がない状態で施工ができました。
作業は、環境修復WGの数名に加え、地元千疋地区の方々、県職員の方々にもご参加いただいて、にぎやかな現場でした。
右に見えているのが武儀川の堤防で、奥から手前に向けて農業排水路が流れてきます。写真手前の影になっているところから堤防を貫通する樋管があり、樋管から農業排水路をつなごうとしているわけです。
なお、堤防よりも河川側(堤外地)では、岐阜県美濃土木事務所による工事が行われています。
詳細は、<計画編>を参照のこと。
私たちの作業では、樋管につながるコンクリートの枡の中に、魚道を作っていくわけですが、コンクリートの枡の端っこには、枡の強度をますための斜めの部分(土木建築業界では、ハンチという)があります。
このハンチが曲者で、ホームセンターで売っているようなコンクリートブロックをぴったりつけるためには、ブロックを斜めにカットする必要があるわけです。
で、このようにカットします。グラインダーで切れ目をいれ、本来であればタガネをクサビのようにあてて叩くと、バシッと割れます。この写真では、岩石用のハンマーをタガネ代わりに使っています。
そのようにして形状をととのえつつ、枡に挿し鉄筋をしてブロックを立ち上げていきます。
枡の底が水平でなかったので、均しコンを少し盛って、水平に近づけてブロックを積んでいきます。
地元、行政、環境修復WG有志メンバーに新聞記者さんも入り乱れての作業が続きます。
途中で、コンクリートが足らなさそう、という話になったところで、県職員のKさんが、コンクリートブロックの破片を粗骨材代わりに使うというアイデアを出されました。コンクリートの破片(ガラ)を埋め戻し材に使うのは土木業界では使われるテクニックなのですが、ここでそれを使うとは…。流石、その道の人たちです。
いよいよ形が見えてきました。田中さんはハッカーが上手になりました。
ここでいうハッカーとは、他人のコンピュータやインターネットサイトをハッキングする人ではなく、鉄筋と鉄筋を細い針金で結束する工具のことです。
魚道の隔壁が概ねできあがってきましたよ!型枠なしの一発勝負です。
最終仕上げの行程に入りました。
完成!そして、恒例の記念撮影です!
実をいうと、これで完成ではなく、魚道の中にまず砂利を入れ、魚道のプールの深さを調整します。
実際に農業用水を使っている時期に、魚道プール内の流れを確かめながら、深さの調整をしたり、渦巻いていればそれを解消したり、といった調整作業を予定しています。
みなさん、お疲れ様でした!
実践編②バーブ工編もみる
「通水の儀」を執り行いました。
平成28年3月4日
一昨日の3月2日に設置した魚道に、水を流す、「通水の儀(つうすいのぎ)」を執り行いました。
また、魚道のプール部分に深さ調整用の砕石を入れてもらいました。
プール部に砕石を有る程度の高さまで入れておきます。
往々にして、こういう四角いプール型魚道では中で渦を巻くので、後から玉石を放り込んで渦を打ち消すなど、調整の余地を残して「見試し」で仕上げます。
さて、いよいよ水を流しました。設計者である坂井さん、真剣な面持ちで流れを確認しています。
本番は、農業用水を使うようになって流量が増えてからですが、まずまずの仕上がりのようです!
魚道上流の、ワンコイン・バーブを設置した区間も、ほどほどに水が堰き上がって、良い感じです。
・・・さらに、ブロックの穴に植物を植え始めました!ちゃんと根付くと良いですね。
4月下旬には、農業用水から水が引かれるようになりますので、そのときの流況に合わせて魚道の調整を行います!